「一度は降りてみたい駅」として、ポスターやSNSでその名を知られる下灘駅(しもなだえき)
愛媛県の海沿いにポツンと佇むその無人駅は、まるでアニメの世界に迷い込んだようなノスタルジックな風景が広がっています。「あのベンチに座って、ただ海を眺めたい」
「都会の喧騒を忘れて、波の音に包まれたい」そんな衝動に駆られ、大阪から休憩を含めて約6時間。
あえて「朝の時間帯」を狙って訪れた下灘駅は、想像を遥かに超える感動的な世界でした。
本記事では、実際に大阪から下灘駅へ車で行った筆者の体験談を交えながら、朝に行くべき理由、撮影のポイント、そして絶対に食べるべき周辺の絶品「鯛めし」ランチ情報まで、下灘駅の楽しみ方を徹底ガイドします。

この記事でわかること

  • 大阪から6時間!深夜出発ドライブのリアルな所要時間
  • なぜ「朝8時」の下灘駅が最強なのか?(混雑回避)
  • カップル要注意?「らぶらぶベンチ」の罠
  • ランチ難民にならない!周辺のおすすめ「鯛めし」3選
  • 下灘駅だけじゃない!近くの絶景「串駅」とカフェ情報

1. なぜ今、下灘駅なのか?求めていたのは「究極のノスタルジー」

日々、仕事や生活に追われる中で、ふと「どこか遠くへ行きたい」と思うことはありませんか?
私が今回下灘駅を目指したのは、まさにそんな理由からでした。

豪華な観光地に行きたいわけじゃない。ただ、「何もない、がある場所」に行きたかったのです。

青春18きっぷのポスターに何度も選ばれ、ドラマ『HERO』や数々の映画のロケ地としても有名。写真で見るあの景色。ホームの向こうに広がる穏やかな伊予灘。
その「ノスタルジックな世界」にどっぷりと浸かるため、私は友人と車に乗り込みました。

2. 大阪から6時間!深夜3時出発の弾丸ドライブ

今回の旅の行程は、大阪からの車移動です。
下灘駅までの所要時間は、休憩を含めて約6時間。決して近い距離ではありません。

あまりにも長いため、友人とドライブがてら「ジャルジャル」のコントを聴きながら、ひたすら笑っていました。笑っていれば、長いドライブもあっという間です。

未明の高速道路を走る高揚感

出発したのは朝の3:00
街が寝静まった深夜の高速道路を走るのは、それだけで非日常の始まりです。明石海峡大橋を渡り、淡路島を抜け、四国へと入る頃には空が白み始めます。

これから絶景に会いに行くんだというワクワク感が、眠気を吹き飛ばしてくれます。
長時間のドライブですが、瀬戸内海の朝焼けを横目に走るドライブルートは最高のリフレッシュになります。

3. 狙い目は「朝8時」。人のいない下灘駅こそ至高

大阪を3時に出て、下灘駅に到着したのは朝8:00頃
結論から言います。下灘駅に行くなら、絶対に「朝」がおすすめです。

① 人が圧倒的に少ない

下灘駅は今や超人気スポット。日中や夕日の時間帯は、観光客やカメラマンでごった返します。
しかし、朝8時の下灘駅は違いました。
周りに人はほとんどいません。チラホラと地元の方や、早起きの旅人がいる程度。
あの有名な景色を、まるで「自分だけのもの」のように独占できるのです。

下灘駅

② 空と海の青さが際立つ

朝の光は空気を澄ませます。目の前に広がる伊予灘のブルーと、空のブルー。そしてホームの簡素なグレー。
余計なものが何もない空間に、朝の静寂が満ちています。波の音だけがBGMのように響くこの時間は、何物にも代えがたい贅沢です。

朝の下灘駅

4. 下灘駅の魅力:インフィニティな絶景と「あのベンチ」

海と一体化する「インフィニティ・ホーム」

下灘駅のホームは、国道を挟んで海より少し高い位置にあります。
そのため、カメラのアングルを工夫して撮ると、ホームと海が繋がっているように見えるのです。

最近の流行りで言うなら、まさに「インフィニティプール」ならぬ「インフィニティホーム」。
柵の向こうにすぐに海が広がる視覚効果は、実際に立つと足がすくむほどの開放感です。

下灘駅インフィニティホーム

注意!「らぶらぶベンチ」の罠

駅のホームにはベンチがあります。座って海を眺めるのに最高なのですが、このベンチ、実は通称「らぶらぶベンチ」と呼ばれているのをご存知でしょうか?

ここだけの話、このベンチは座面が中央に向かってV字に傾斜しているんです。

ここに2人で座るとどうなるか?
重力の法則に従い、自然と2人の体が中央に滑り落ち、強制的に密着することになります。

  • カップルの場合:自然と肩が触れ合い、ロマンチックなひとときに。
  • 男友達の場合:……想像したくないですね(笑)。

誰かと訪れる際は、この「物理的な距離の詰め方」に十分ご注意ください。

5. 電車が来る瞬間の緊張とチャンス

下灘駅は現役の駅ですので、もちろん電車が来ます。ただし、その本数には注意が必要です。

1時間に1本あればラッキーなダイヤ

都会の感覚でいると痛い目を見ます。
予讃線のこの区間は本数が少なく、日中は「2〜3時間に1本」なんて時間帯もあります。「1時間に1本あれば良いほう」というレベルです。

撮影のコツ:
電車が入ってくるタイミングは、誰もがカメラを構える「クライマックス」です。
この瞬間だけは、朝であってもどこからともなく人が集まり、緊張感が走ります。
海をバックに列車(キハ54形など)が滑り込んでくる構図を撮りたい場合は、時刻表を事前にチェックし、余裕を持って到着しておきましょう。
下灘駅のダイヤ

6. 【実食レポ&穴場】下灘駅周辺ランチ!絶品の「鯛めし」

絶景でお腹が満たされた後は、実際のお腹を満たしに行きましょう。
愛媛といえば「鯛めし」です。
今回は私が実際に訪れた場所と、リサーチしていたおすすめ店をご紹介します。

① ふたみシーサイド公園(道の駅ふたみ)

実は今回、下灘駅近くのお目当ての鯛めし屋さんが閉まっていました。
そこで急遽向かったのが、車で約10分の場所にある「ふたみシーサイド公園」です。これが結果的に大正解でした。

ふたみシーサイド公園(道の駅ふたみ)「日本の夕陽百選」にも選ばれている絶景スポットにある道の駅。施設がとても綺麗です。

ふたみシーサイド公園

おすすめポイント:
レストランでは地元の新鮮な鯛を使った料理が楽しめます。
ここの鯛めしは、プリップリの鯛の甘みが口いっぱいに広がり絶品!
お土産も充実しているので、ドライブの休憩拠点としても最適です。

お醤油をかけていただきます。イメージしていた鯛めしとは少し違いましたがよても美味しかったです。

鯛めし

② 【本命】季節料理 魚吉(うおよし)

もし営業日とタイミングが合えば、ぜひ訪れてほしいのがこちら。地元で愛される名店です。

季節料理 魚吉下灘駅から車で約5分。
ここでは、鯛を炊き込んだ「鯛釜めし(松山風)」と、刺身をタレに漬け込んだ「ひゅうが飯(宇和島風)」の両方が楽しめます。
特に釜めしは、蓋を開けた瞬間の香ばしさがたまりません。
※月曜定休の場合が多いので要確認です。季節料理 魚吉(うおよし)

③ 【穴場】くじら(Kujira)

くじら下灘駅から車で約3分。
その名の通り、珍しい「鯨(くじら)料理」が食べられるお店です。
高台にあり景色も抜群。定食メニューも豊富なので、魚料理以外が食べたい時にもおすすめです。

7. 下灘駅だけじゃもったいない!周辺の絶景&カフェ

下灘駅まで来たら、合わせて立ち寄りたいスポットをご紹介します。

【絶景】もう一つの絶景駅「串駅(くしえき)」

下灘駅が混雑していたら、一つ隣(西側)にある「串駅」へ行ってみてください。
ここもホームの目の前が海!下灘駅ほどの知名度はないため人が少なく、静寂と絶景を独占できる穴場スポットです。

近くにある**「串鉄橋」**は、海の上を列車が走っているような写真が撮れる有名な撮影スポットです。

【カフェ】駅前のオアシス「下灘珈琲」

下灘駅の目の前にあるコーヒースタンド。
愛媛のみかんジュースやハンドドリップコーヒーを提供しています。
駅のベンチで海を見ながら飲むコーヒーは格別。「下灘」のスタンプが入ったスリーブは写真映えも抜群です。

【季節限定】春限定「閏住(うるすみ)の菜の花畑」

もし2月〜3月に訪れるなら、下灘駅から車で数分の「閏住の菜の花畑」へ。

下灘駅から車で2~3分、徒歩でも行ける距離にある斜面。

斜面一面の菜の花の「黄色」、伊予灘の「青」、列車の「赤」という完璧なコントラストが見られます。閏住(うるすみ)の菜の花畑

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8. 下灘駅へのアクセス・基本情報

最後に、これから行く方のために詳細なアクセス情報をまとめておきます。

名称JR予讃線 下灘駅(しもなだえき)
住所愛媛県伊予市双海町大久保
入場料無料(無人駅)
※撮影のみでも入場券相当のグッズ購入などが推奨されています。
大阪からのアクセス(車)阪神高速 → 松山自動車道「伊予IC」下車。
国道378号(夕やけこやけライン)を南下。
所要時間:休憩込みで約5時間半〜6時間
駐車場駅前に数台分あり(狭いので注意)。
満車の場合は、少し離れた臨時駐車場を利用してください。

まとめ:早起きしてでも行く価値がある

大阪から6時間。往復すれば半日以上移動していることになります。
それでも、下灘駅には行く価値がありました。

  • ノスタルジックな世界観に浸れる
  • 朝8時に行けば、静寂と絶景を独り占めできる
  • インフィニティな海とホームの写真は一生の思い出になる
  • 近くで食べる「鯛めし」は最高に美味い

「何もない」をしに行く贅沢。
もし、日々の生活に少し疲れていたり、心を空っぽにしたいと思っているなら、次の休日は早起きをして下灘駅を目指してみてはいかがでしょうか。

ただし、ベンチに座る時は相手を選んでくださいね(笑)。
あなたの旅が、素敵な思い出になりますように。