沖縄移住で無職・所持金わずかでも生き抜いた話|ミニマルライフと極限の節約術

沖縄移住、無職、所持金わずか。それでも生き抜いたミニマルライフと極限の節約術
沖縄県北部に移住した当時、正直に言って何も持っていなかった。
スキルも、実績も、確かな将来像もない。ただ「ここで生きる」と決めただけだった。
仕事は決まっていなかった。選択肢は一つしかない。
労働力を提供するか、徹底的に倹約するか。
いや、正確にはその両方を同時にやるしかなかった。
今でこそ沖縄県の賃金は徐々に上がってきているが、10年前はまったく違う。
コンビニのアルバイトで時給600円台が普通に存在していた時代である。
その現実を前に、理想論は一切通用しなかった。
資格を取ったが、向いていないと悟った話
沖縄に来る前、介護初任者研修の資格を取得した。
「資格があれば仕事に困らない」という言葉を、当時は信じていた。
しかし、実際に学び、現場を想像するうちに気づいた。
これは自分の性分に合わない仕事だという事実である。
せっかく時間と金をかけて取得した資格だったが、使うことはなかった。
無駄だったのかと問われれば、そうではない。
失敗だと早めに気づけたこと自体が、十分な収穫だったと今は思っている。
人生には「やってみなければわからないこと」が確実に存在する。
その一つを20代前半で経験できたことは、決して悪いことではなかった。
リゾートホテルから連絡が来ない日々と、サンエーでのアルバイト
リゾートホテルの面接を受けたが、なかなか連絡は来なかった。
待っているだけでは腹は満たされない。
そこで、沖縄県発祥のスーパー「サンエー」でアルバイトを始めた。
結果的に、この経験は非常に大きな意味を持つことになる。
レジ越しに見る人々の生活。
自分では買えない商品を、何の迷いもなくカゴに入れていく客。
その光景は、胸に深く突き刺さった。
「欲しいが、買えない」。
この感情は人を静かに追い詰める。
同時に、必ずこの生活から抜け出すという強烈な原動力にもなった。
収入が低いなら、固定費を削るしかない
収入を短期間で増やせない以上、やるべきことは明確だった。
支出を極限まで下げることである。
最初に手を付けたのは家賃だった。
家賃は固定費であり、一度決めれば簡単には動かせない。
だからこそ、徹底的にこだわった。
安全面を最低限確保したうえで、3万円台のワンルームを選んだ。
沖縄北部はリゾート地でもあり、短期・長期で働く人間も多い。
探せば選択肢は意外と存在する。
田舎によるが、駐車場も無料だったり格安だったりする。これは田舎に住んでいるメリットの一つだ。
食費は月1万円。極限の自炊生活
食費は月1万円と決めた。
これ以上は使わないという明確なルールを最初に設定した。
米は1日1回炊き、昼と夜に分けて食べる。
そのため、冷蔵庫と電子レンジは必須だった。
冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機。
これは生活の三種の神器である。
ミニマリストが洗濯機や冷蔵庫を持たない人もいる。しかしそれは都市型ミニマリストだ。田舎のミニマリストは周囲にコインランドリーも、コンビニも、スーパーもない。お財布にとってもミニマルではない。
新品にこだわる必要はないが、購入する時期は重要だ。
ビッグカメラでは2〜3月に「新生活応援セール」があり、大幅な値引きが行われる。
この時期を狙って必要最低限を揃えた。
週1回の買い出しがもたらした効果
移動手段はバイクだった。
田舎ゆえ、スーパーまで片道30分かかる。
そのため、買い出しは週1回と決めた。
結果として、食費・ガソリン代・時間のすべてを削減できた。
食材は極めてシンプルだ。
鶏むね肉、もやし、卵。
タンパク質と野菜だけは最低限確保する。
もやしは3日ほどで酸っぱくなる。
だが捨てる選択肢はなかった。
醤油で蒸せば、驚くほど食べられる。
サプリとエビオス錠という現実的な選択
亜鉛などはサプリで補い、その他の栄養はエビオス錠で対応した。
エビオス錠は地味だが非常に有能である。
ビタミン、ミネラル、食物繊維まで含まれており、便通改善にも役立った。
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電気代・ガス代を抑える生活設計
友人から教わった節約術がある。
屋外給湯器のコンセントを抜くことだ。
これだけで電気代は確実に下がった。
また、夜更かしは体にも財布にも悪い。
早く寝る生活へと切り替えた。
起きていると空腹になる。それで夜9時には就寝した。「眠りは空腹を忘れる」とはよく言ったものだ。
田舎ではプロパンガスが主流である。
料金表を見た瞬間、正直なところ愕然とした。
都市ガスの倍近い。
風呂は、シャワーをやめて湯船にお湯を溜めて使った量がわかるようにした。移住したのが春だったため、水を浴びていたこともあったな。
沖縄に移住した人も言っていたが、最初のうちは冷水でも浴びれるのだそう。しかし、体が南国仕様になってくると、次第に冷水を体が受け入れにくなるそうだ。体はその土地に順応するのだ。
友人のアドバイスで、カセットコンロを用いて調理するというアドバイスももらった。
自分は調理はIHクッキングヒーターを使用した。
アイリスオーヤマ製で、エコモードを使えば電力消費も抑えられた。
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ミニマルライフは合理的な生存戦略である
ミニマルライフは「おしゃれ」な生き方として語られがちだ。
だが本質は違う。
出費を抑えるための合理的な生存戦略である。
ただし、節約のしすぎは心を削る。
人を羨み、余裕を失えば本末転倒だ。
旅という自己投資と、心のガス抜き
ここぞという時には金を使う。
その代表が旅である。
旅の計画を立てる時間は、ストレスを軽減すると言われている。
現実逃避かもしれないが、それで構わない。
帰ってきた後に残る記憶と感情は、確かな資産になる。
だから旅は自己投資だと考えている。
沖縄にいた時には、周囲に簡単に離島に行くことができるというメリットがある。少しお金を貯めれば、容易に離島に旅ができた。離島好きにとってはこのメリットは唯一無二だと思っている。
旅に行けない時にも定期的に、じっくり海や景色を見に行ったりする時間を取った。沖縄のメリットは周りが海に囲まれているので、いつでも海に入ったり、景色を見に行ったりすることができる。特に、自分が住んでいる家の近くがエメラルドビーチのすぐ近所だった。夏場は、定期的に海水浴に行ったりした。
夜は少しバイクを走らせれば、満点の星空を見ることができる。よく古宇利島の近くまで行っていた。そこまで行くと、夜は車の通りも少ないからだ。
観光に行くと、天気の具合で星空を見れなかったりもするが、移住してその土地に住んでいるといつでも好きな時に、タイミングをみて、星空を見に行ける。あの時はひもじかったが、それ以上に心は豊かだった気がする。あの時見た天の川は決して忘れない。
ひもじい経験は、今も確実に生きている
これは20代前半の経験である。
あの時の空腹、悔しさ、焦りは今も忘れていない。
お金は有限だ。
だからこそ賢く使う必要がある。
今あるもので満足する力が、人生を支える。
沖縄北部でのひもじい日々は、今の自分を確実に形作っている。

